上天秤ウイングばね式
軸箱の案内はやはり軸箱守(=ペデスタル,pedestal)によることはウイングばね式と同じであるが,一次ばね装置の造作が異なっている。すなわち軸箱直上に設けられた支点(下図の赤色ピン)に天秤梁(下図の青色の梁)を載せて,天秤梁の両端から直下にばね受けが付いたロッド(=ばね棒,下図の青色のロッド)を下げる。ロッドのばね受けには防振ゴム(下図の緑色の部分)を介してコイルばねが載り,コイルばねの他端は台車枠のばね受けに嵌まり込んだ構造をとる。前項のウイングばね式はばね容量を大きく設定出来るという利点と共にウイング形のばね受けを形成する為に軸箱体が大きく重くなるという欠点があります。さらに並列に配したコイルばねのアンバランスにより軸箱が傾き,軸箱守の磨耗を加速させる問題がありました。これらの問題を解決する為に軸箱を小型化して一次ばね装置を独立させ,さらにイコライザ(=天秤梁)によりバネのバランスをとった方式が上天秤ウイングばね式ということが出来ます。


上の写真はDT20A台車の軸箱,支点(=天秤座),ピン,天秤の状態を写したものです。上天秤ウイングばね式軸箱支持装置は日本車両製造(株)製の一部の台車と国鉄DT20,DT20A台車に採用されましたが,部品点数がウイングばね式に比して多くなり,またウイングばね式の技術熟成が進んだ為に,その後あとが続きませんでした。

上の写真は上天秤ウイングばね式軸箱支持装置を採用した国鉄DT20A台車





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