ミンデン式
軸箱体の前後水平方向に板ばねを取り付け(下図の青色部分),板ばねの他端を台車枠に取り付けて軸箱を支持する方式。ミンデン式または両板ばね式(ミンデンドイツ式,標準ミンデン式とも呼ばれることがある)と呼ばれている。
前後水平方向に取り付けられた板ばねの内、台車内側寄りの板ばねは台車枠に直接固定されるが,外側寄りの板ばねはL字型の垂直板ばね(下図の緑色部分)を介して台車枠に固定されていることがミソである。すなわち軸箱体が上下に変位する際に、水平方向に取り付けられた板ばねは前後方向に変位するが,その変位を垂直方向に取り付けたL字型の板ばねが許容する仕掛けとなっている。短冊状の水平方向の板ばねは上下方向には撓るが,前後方向及び左右方向には撓むことはなく,摺動部や磨耗部もなく理想的な軸箱支持方式の一つであると考えられる。


上写真は両板ばね式軸箱支持方式の軸箱体を下側から捉えたものです。軸箱の両側に伸びたウイング状のばね受けの裏側には板ばねを固定するボルト穴とギザギザのセレ-ションが施されていることが確認出来ます。
右上写真は軸箱体と水平方向の板ばねとの接合部を捉えたものです。左上の写真で示したとおり,軸箱体の底面に施されたセレ−ションと板ばねに施されたセレ-ションとを噛合わせた上でボルトを使ってしっかりと固定されていることがわかります。

左上の写真は軸箱体底部に施されたセレ−ションと板ばねのセレ−ションの噛合い部分のアップです。ギザギザ同士が噛合って位置がずれたりしないように工夫されています。
右上の写真は台車内側寄りの水平板ばねと台車枠との固定部分を捉えたものです。台車枠から伸びた取付け腕に施されたセレ−ションと板ばねのセレ−ションが噛合い位置ずれを防ぐと共にボルト4本を使用して,まさにびくともしないように固定されていることがわかります。
上の写真は水平板ばねの台車枠外側寄りの固定部を撮ったものです。上述したように台車枠外側寄りの取付け部は,台車枠ではなく垂直板ばねと結合しています。水平板ばねのセレ−ションと垂直板ばねのセレ−ションとが噛合わされボルトで固定されていることが判ります。
右の写真は垂直ばねを撮ったものです。水平ばねと結合された垂直ばねの他端はやはりセレ−ション加工を施されて台車枠にしっかりと固定されています。
上の写真はスペインMuseo del Ferrocarril de Vilanova i La Geltru'で見つけたミンデン式軸箱支持装置です。日本のミンデン式軸箱支持装置と全く同じ様式であることが判ります。

上の写真は小田急3100系が履くFS46台車であり,台車の全長は3906[mm]もあるという。水平板ばねを撓らせて軸箱の上下動を許容するため,水平板ばねはある程度の長さが必要となり,それが軸箱の前後に配置されるのでどうしても台車全長が長くなってしまう。これは床下機器の艤装の観点からも得策とはいえず,やがて片板ばね式へと発展的消滅をたどることになる。





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