ゲルリッツ
軸箱を軸箱守(=ペデスタル,pedestalによって案内し,長くて柔らかいコイルばねを並列に使用することにより良好な乗り心地を提供したウイングばね式軸箱支持装置であったが,当時の脆弱な軌道ではコイルばねでの振動の減衰には限界があり,振動がいつまでも続いたり,逆に振動が大きくなったりする問題があったようだ。そこでウイングばねの長所に,重ね板ばねの長所である摩擦減衰作用を付加してこの問題の解決にあたったものがゲルリッツ式軸箱支持装置である。すなわちコイルばねと重ね板ばね(下図の青色部分)を直列につなぐ方式でゲルリッツ式の由来はもともとドイツのWUMAG(Waffen und Machinen AG Gorlitz)で考案された台車の名称で今回のように軸箱支持装置そのものをさすものではない。

上図はゲルリッツ式軸箱支持装置の模式図です。軸箱の上に重ね板ばねを配し,その両端には,ばね受けを設けたばね吊りボルトを吊り下げる。このばね受けにコイルばねを載せて,上端は台車枠に設けたばね受けに納める構造となっている。この様に非常に凝った構造のゲルリッツ式軸箱支持装置であるが,オイルダンパや防振ゴムなど技術の発達や軌道の強化改良が進むなか,他方では部品点数の増加による保守の増加などの問題もあり採用例は数少なく,謂わば技術的過渡期の支持装置と言えるかもしれない。

左上写真は台車枠上部から覗く台車中心寄りの吊りボルトの頭部分です。右上写真は台車外側寄りの重ね板ばね端と吊りボルトを捉えたものです。

上の写真は軸箱の上に載せられた重ね板ばねを写したものです。

上の写真はゲルリッツ式軸箱支持装置を採用したFS107台車





前へ メニュ−へ ホ−ムへ 次へ




inserted by FC2 system